このガイドの要点
導入前に、まず確認したい3点
- 開始・本人の選択・学校の支援・安全運用を分けて確かめる
- 対象、期間、当初値、欠測、担当者、証拠を開始前に合意する
- 継続・変更・停止の判断条件を、実証の前に決める
実績を先に約束せず、確かめたいことを仮説にする
共同実証は、導入効果を演出する場ではなく、地域と学校の条件で支援を続けられるかを確かめる期間です。
開始前に、地域のどの課題へ、manahooのどの機能が、どのように役立つと考えるのかを一文で整理します。例えば「予約や会話を開始条件にしないことで、その日の状態に合わせて一問を始められる児童生徒がいるか」「学習記録を学校が無理なく確認し、次の声かけや設定見直しへ使えるか」といった、実証で確認可能な仮説にします。
学力向上率、登校再開率、出席扱いの件数だけを最初の成功条件にすると、本人の状態、既存支援、家庭環境、学校判断など、サービス以外の要因と混同します。まずはサービスが直接支えられる入口と運用を評価し、より長期の変化とは分けて記録します。
四つの観点を、別々に確かめる
一つの利用率だけで良し悪しを決めず、「本人へ届いたか」「本人が選べたか」「学校が次の支援へつなげられたか」「安全に運用できたか」を分けます。それぞれ、システムで確認できる記録と、人による聞き取りや確認を組み合わせます。
自動取得できない項目を、取得できる前提で評価計画へ入れてはいけません。利用開始前に、画面で確認できるもの、管理画面や出力で確認するもの、担当者が記録するものを区別します。
- 開始できたか:ログインだけでなく、一問を選び、開始または終了まで進めたか
- 本人が選べたか:ヒント、やり直し、「今日はここまで」などを本人が選択できたか
- 学校がつなげられたか:記録を確認し、声かけ、設定変更、人による確認へつなげられたか
- 安全に運用できたか:権限、問い合わせ、未確認答案、事故連絡、利用停止の手順が機能したか
対象・期間・当初値・欠測を、表の見出しから決める
対象は「不登校児童生徒」と一括りにせず、利用場所、在籍校との連携、端末、必要な支援、利用開始時点の状況を整理します。実証期間は、準備、利用、振り返りを分け、学校行事や長期休業など結果へ影響する時期も記録します。
ベースライン(当初値)は、実証前の利用状況や学校側の確認負担など、比較可能なものだけを設定します。端末不具合、体調、設定未完了、本人の選択による未利用を同じ欠測として扱わず、分かる範囲で理由を残します。少人数では、個人が推測される集計や過度な細分化を避けます。
- 対象:人数、学年、利用場所、端末、既存の支援、除外条件
- 期間:準備期間、利用期間、確認日、振り返り日
- 当初値:開始状況、記録確認の所要時間、問い合わせ状況など比較可能な項目
- 欠測:未利用、未送信、未確認、端末・通信・設定上の理由を区別する方法
- 集計:少人数時の非表示基準と、個人を推測させない報告単位
RACIのたたき台をつくり、導入先と責任分担を確定する
以下の役割は、検討を始めるためのたたき台です。開始前に、実行する人(R)、最終責任を持つ人(A)、協議する人(C)、共有を受ける人(I)を活動ごとに整理し、自治体・学校・運営会社が既存の規程、契約、教育上の権限に照らして協議し、確定します。本ガイドだけでAやRを固定しません。本人には運用責任を割り当てず、学習の入口と終わり方を選ぶ主体として位置づけます。
証拠は、集計結果だけでなく、評価項目の定義、対象期間、出力日時、最終反映時刻、未確認項目、設定変更履歴、問い合わせ・障害対応の記録を含めます。本人・保護者・教職員への聞き取りは、同意と負担に配慮し、自由記述をそのまま公開しません。
- 本人(役割例):利用や終了を選ぶ主体。聞き取りでは協議先とし、利用量の責任を負わせない
- 学校(役割例):個別設定、記録確認、次の声かけ、教育上の判断に関わる。どの活動でR・Aを担うかは導入先と協議する
- 自治体・教育委員会(役割例):対象、評価方針、個人情報、継続判断の枠組みに関わる。どの活動でR・Aを担うかは学校・運営会社と協議する
- 運営会社(役割例):設定支援、資料準備、問い合わせ、システム障害・事故対応に関わる。システム運用上のR・Aの範囲は契約と運用体制で確定し、教育上の判断は行わない
manahooが用意する資料と、一緒に決める事項を分ける
共同実証に向けて、manahoo側は実証計画のたたき台、受入確認表、役割別の操作ガイド、成果整理様式を準備する想定です。標準資料をそのまま当てはめるのではなく、対象と学校の体制に合わせて自治体・学校と確定します。
一方、対象、期間、利用場所、担当者、保存・削除、連絡経路、費用の前提は運営会社だけでは決められません。共同実証の前に協議し、未確定事項を残したまま「導入済み」と扱わないようにします。
- manahooが用意する想定成果物:実証計画たたき台、受入確認表、操作ガイド、成果整理様式
- 一緒に決める事項:対象、期間、利用場所、端末、担当者、確認頻度
- 一緒に決める事項:個人情報、閲覧権限、保存期間、削除方法、事故・問い合わせ連絡
- 一緒に決める事項:費用の前提、実証終了後の継続・変更・停止とデータの取扱い
継続・変更・停止を、同じテーブルで判断する
実証終了時は、継続か中止かの二択にしません。予定どおり継続する、対象や運用を変えて続ける、追加確認を行う、一旦停止するという選択肢を用意します。本人の負担、学校側の確認負担、安全上の未解決事項は、利用件数と同じ重さで判断材料にします。
継続する場合も、対象拡大の条件、修正する機能・運用、次回の確認日を記録します。停止する場合は、アカウント停止、データ出力、保存・削除、関係者への説明までを完了条件に含めます。
- 継続:対象と運用を変えずに続けられる根拠がある
- 変更:対象、設定、確認頻度、役割分担の修正が必要
- 追加確認:欠測や期間不足により判断材料が足りない
- 停止:本人の負担、安全、運用体制など未解決の条件がある
学力・登校・出席扱いは、評価対象と成果保証を分ける
学力や登校状況を確認する場合は、サービスの直接的な成果と断定せず、本人の状態、学校・家庭・支援機関の取組など複数の要因が関わる長期的な変化として扱います。短期間・少人数の実証結果を、地域全体の効果へ一般化しません。
manahooの利用記録は、学校が次の支援を考える材料の一つです。利用による学力向上、登校再開、指導要録上の出席扱い、成績評価への反映を保証しません。出席扱いと成績評価は、最新の国の通知、教育委員会の方針、学校の確認と判断を経て決まります。
確認に使用した一次情報
公式資料・出典
制度や外部サービスの仕様は更新される場合があります。リンク先の最新情報もあわせてご確認ください。
- 文部科学省
不登校経験者等を対象とする調査〜不登校・いじめ対策等の効果的な活用の推進に向けた調査研究報告書〜(令和7年)
不登校経験者や教育支援センター等に関する調査結果を確認し、対象や支援体制を一括りにしないための公式資料です。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1397808_00001.htm新しいタブで開く - 文部科学省
不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて
ICT学習を指導要録上の出席扱いとする場合の要件と留意事項を示す公式資料です。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00005.htm新しいタブで開く - 文部科学省
不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)
欠席中に行った学習の成果を学校が把握し、成績評価へ反映する際の考え方と事例を示す公式資料です。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00002.htm新しいタブで開く - 内閣府 経済財政諮問会議
経済・財政新生計画 進捗管理・点検・評価表2025(改訂版)
政策目標を確認するKGI、施策の成果を測るKPI第2階層、施策の進捗を測るKPI第1階層を分け、初期値・目標値・実績値で点検する考え方を確認するための公式資料です。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/report_251225_3.pdf新しいタブで開く - 文部科学省
生成AIの利用について/初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)
学校現場における生成AI利用の基本的な考え方と、場面・主体に応じた留意点を確認するための公式資料です。
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_02412.html新しいタブで開く
