不登校の学習継続支援

不登校児童生徒の学びを、ICTでどう途切れさせないか

学習の遅れだけを見るのではなく、学習を始めるまでの負担、本人の尊厳、学校とのつながりを一つの運用として設計するためのガイドです。

実務ガイドを案内するまなほーくん

主な対象

自治体・教育委員会、学校・教職員、教育支援センター、支援担当者

このガイドの要点

導入前に、まず確認したい3点

  • 予約・会話・カメラを開始条件にしない
  • 在籍学年と学習設定学年を分けて扱う
  • 学習記録を評価ではなく次の支援へつなぐ

学習内容の前に、始めるまでの負担を整理する

不登校児童生徒の学習継続支援では、教材の難易度だけでなく、画面を開くまでの心理的な負担も設計対象になります。

決まった時刻の授業、支援者との会話、カメラやマイクの利用、最初の目標設定が重なると、学習する意思があっても開始できない場合があります。そこで、ログイン後に一問だけ選べる、途中で「今日はここまで」を選べる、休んだ日を責めないといった入口を用意します。

応援の言葉も一律に強く励ますのではなく、本人が急かされていると感じない表現に調整します。赤い不正解表示や警告音、連続学習日数の過度な強調を避け、刺激を抑えた画面とキャラクターを使う画面を選べる状態を目指します。

  • 学習時間や目標の入力を開始条件にしない
  • カメラ・音声・顔出しを要求しない
  • ヒント、やり直し、終了を本人が選べる
  • 文字量、読み上げ、表示密度を本人に合わせる

「一問から」を、学習を小さくするだけで終わらせない

一問から始める目的は、単純に問題数を減らすことではありません。本人が「今ならできそう」と思った瞬間に、予約や欠席連絡を挟まず、自分で入口を選べることが重要です。Webブラウザで利用できる構成なら、学校支給端末など既存の環境との接続方法も検討しやすくなります。

AIは答えを即座に渡す役割ではなく、短いヒント、考え方の整理、段階的な説明を選べる伴走役として設計します。作文・証明・長文記述など、機械的な判定が適さないものは人による確認へつなぐ前提を残します。

在籍学年と、学び始める地点を分けて扱う

在籍学年と現在取り組みやすい学習内容が一致しないことは珍しくありません。しかし、実学年より前の学年名を本人向け画面へ強く表示すると、やる気や尊厳を損なう可能性があります。

管理画面には「在籍学年」と「学習設定学年」を別々に指定する欄があり、既存アカウントの一覧でも別項目として確認できます。 管理画面上では、学習設定学年を本人向け画面に表示しない旨を案内しています。学校側の設定と本人が見る学習画面を分け、学年差を必要以上に意識させないための設計です。 管理画面の項目と既存アカウントの表示は確認済みです。新規発行・設定変更後の保存反映と、本人向け全画面での非表示は、導入前の受入確認で確かめます。

  • 在籍情報は所属や学校運用のために保持する
  • 学習設定は問題選択のために管理者側で調整する
  • 管理画面では、学習設定学年を本人向け画面に表示しない方針を案内する
  • 一度の判定で固定せず、教職員が状況を見て見直す

学習記録は、監視や順位付けではなく次の声かけへ

記録する情報は、利用日、教科、提出、やり直し、本人が選んだ支援など、次の声かけや設定見直しに必要な範囲へ絞ります。画面を開いていた時間と実際に操作した時間、無操作や休憩は分けて扱い、長時間ログインしていたことだけで学習量を判断しません。

記録がない日を欠席や失敗と決めつけたり、児童生徒同士のランキングへ使ったりしない運用が重要です。誰が、どの記録を、どの頻度で確認するかを導入前に決め、本人に見られ続けている感覚を生じさせないようにします。

ICT学習だけで出席扱いが自動的に決まるわけではない

文部科学省の通知では、自宅でICT等を活用した学習活動を指導要録上の出席扱いとする場合、保護者と学校の連携、対面指導、学校による学習状況の把握など複数の要件が示されています。サービスの利用履歴が存在するだけで、出席扱いになるわけではありません。

manahooの学習記録は、学校が状況を確認するための材料の一つとして設計します。最終的な出席扱い・指導要録・成績評価の判断は、国の通知、教育委員会の方針、学校長の判断と学校での確認を経て行われます。

自治体・学校・支援者で、続けられる運用を決める

導入時には、対象となる児童生徒、利用場所、端末、アカウント発行、問い合わせ先、学習記録の確認者を整理します。教育支援センターや自宅から利用する場合も、在籍校と切れた別の仕組みにせず、本人の同意や負担に配慮しながら次の支援へつなぐ方法を決めます。

最初から大人数へ広げず、少人数で画面の見え方、記録の確認頻度、担当者の負担を確かめ、本人・学校・支援者の意見をもとに設定を見直す進め方が現実的です。

  • 利用場所と端末環境を確認する
  • 本人・保護者への説明と同意方法を決める
  • 教職員・支援者・教育委員会の役割を分ける
  • 記録の確認頻度と、見直すタイミングを決める

確認に使用した一次情報

公式資料・出典

制度や外部サービスの仕様は更新される場合があります。リンク先の最新情報もあわせてご確認ください。

  1. 文部科学省

    不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

    ICT学習を指導要録上の出席扱いとする場合の要件と留意事項を示す公式資料です。

    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00005.htm新しいタブで開く
  2. 文部科学省

    不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)

    欠席中に行った学習の成果を学校が把握し、成績評価へ反映する際の考え方と事例を示す公式資料です。

    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00002.htm新しいタブで開く
  3. 文部科学省

    生成AIの利用について/初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)

    学校現場における生成AI利用の基本的な考え方と、場面・主体に応じた留意点を確認するための公式資料です。

    https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_02412.html新しいタブで開く

共同実証・導入をご検討の方へ

地域や学校の状況から、必要な確認事項を一緒に整理します。

対象人数や利用場所、実証範囲が固まっていない段階でもご相談いただけます。
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