このガイドの要点
導入前に、まず確認したい3点
- 地域の既存支援と重ならない役割を決める
- 共同実証の対象・期間・確認指標を先に合意する
- 個人情報・権限・委託先の条件を導入前に確認する
「何を導入するか」より先に、地域の課題を言葉にする
不登校支援は、相談、居場所、福祉、医療、学習支援など複数の領域にまたがります。ICT学習支援だけですべてを解決しようとせず、地域の既存施策の中で、学習を始める入口と学校への記録共有をどこまで担うかを定めます。
対象も「不登校児童生徒」だけで一括りにせず、別室登校、保健室登校、長期欠席傾向、教育支援センター利用、自宅中心など、利用場所と支援体制を整理します。医療・心理の判断を行うサービスではないことも関係者間で共有します。
- 現在の学習支援で入口が不足している場面
- 学校・教育支援センター・家庭の連絡方法
- 既存教材や端末を置き換えるのか、組み合わせるのか
- 学習記録を誰のどの判断に使うのか
自治体・学校・支援拠点・運営会社の役割を分ける
自治体は共通方針、対象範囲、個人情報、委託先管理を整理し、学校は児童生徒の個別設定、学習記録の確認、次の声かけを担当します。教育支援センター等は、本人が使いやすい距離感や画面を一緒に確認し、必要な情報を学校へつなぎます。
運営会社は、システムの提供、権限設定、問い合わせ、障害時の連絡、監査記録を担当範囲として想定します。誰か一者がすべてを背負うのではなく、判断が必要な場面を人へ戻す経路を明確にします。
共同実証は、成果を約束する場ではなく運用を確かめる場
実績がまだない段階で、学力向上率や登校再開率を先に約束することは適切ではありません。共同実証では、対象人数、期間、利用場所、端末、担当者、問い合わせ方法を定め、本人が開始できるか、学校が無理なく記録を確認できるか、連絡が途切れないかを確かめます。
数値だけで評価せず、本人・保護者・教職員・支援者の負担や使いにくさも記録します。少人数の集計では個人が推測されない表示を採用し、報告時には対象期間、データの反映時刻、未確認項目を明記します。
- 利用開始までに必要だった支援
- 一問を開始・終了できた場面
- 設定変更や人による確認が必要だった件数
- 教職員・支援者の確認負担と問い合わせ内容
- 継続する場合に修正すべき運用条件
個人情報と閲覧権限を、画面設計と一緒に決める
氏名や個人メールアドレスをサービスへ持ち込みすぎないよう、児童生徒は仮名IDを基本とする設計を検討します。学校担当者は自校または担当する児童生徒、自治体担当者は必要な集計範囲など、役割ごとに閲覧範囲を分けます。
保存する情報、保存期間、削除方法、アカウント停止、担当者異動時の権限変更を導入前に文書化します。AIへ送る情報とデータベースに保存する情報を分け、答案画像などは処理に必要な範囲へ限定します。
生成AIの利用条件を、調達・契約・運用で確認する
文部科学省のガイドラインVer.2.0を踏まえ、発達段階、情報活用能力、人間中心の利用、個人情報、生成内容の確認などの配慮事項を実装と運用へ反映します。「ガイドライン準拠」という一語で済ませず、どの配慮をどの機能・規程で担保するかを確認します。
本番で接続する外部AIについては、入力を提供者のモデル学習へ利用しない契約・設定が確認できるサービスを採用予定条件とします。接続先、保存期間、再委託先、障害時の対応が確定した段階で、自治体・学校へ説明できる資料を整えます。
導入判断の前に確認する項目
費用や機能だけでなく、担当者が変わっても続けられる体制、本人への説明、問い合わせ対応、データ削除までを一つの導入条件として確認します。共同実証の終了時には、継続・拡張・停止のどれを選んでも必要なデータを整理できる状態にします。
- 対象、期間、利用場所、概算人数
- 自治体・学校・支援拠点・運営会社の責任分界
- 本人・保護者への説明と同意
- 権限、保存、削除、監査、事故連絡
- 実証で確認する指標と、継続判断の会議体
確認に使用した一次情報
公式資料・出典
制度や外部サービスの仕様は更新される場合があります。リンク先の最新情報もあわせてご確認ください。
- 文部科学省
生成AIの利用について/初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)
学校現場における生成AI利用の基本的な考え方と、場面・主体に応じた留意点を確認するための公式資料です。
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_02412.html新しいタブで開く - 文部科学省
初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)本体
人間中心の利活用、発達段階への配慮、個人情報保護、生成内容の確認などを扱うガイドライン本体です。
https://www.mext.go.jp/content/20241226-mxt_shuukyo02-000030823_001.pdf新しいタブで開く - 文部科学省
不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて
ICT学習を指導要録上の出席扱いとする場合の要件と留意事項を示す公式資料です。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00005.htm新しいタブで開く
